先月、たくさんのお客さんが来て下さったKITAKAGAYA FLEA ASIA BOOK MARKETで朗読会があって、インセクツのデザイナーとして自分が気に入った本を朗読することになった。どんな本を朗読するといいかなとよく悩んでいて、聴く側の方々が中国語を分からない前提の上に、どういうテーマ の本が皆さんの興味を惹くかとよく考えていた。

数年前、台湾料理「肉臊飯」をテーマにした本を編集担当していたので、その本を日本のみなさんに紹介することができたらいいなと思っていた。食べることはいつでも、どの国の方にも共感しやすいと考えつつ、本に掲載される「滷肉飯(ルーロウハン)」は日本の方にとって、台湾料理の定番になっているのではないでしょうか、というところもあり、「一碗肉臊飯」を朗読することに決めた。朗読会が無事に終わり、改めて滷肉飯(ルーロウハン)を紹介したいと思っていた。
日本でよく知られる「滷肉飯(ルーロウハン)」とは、見た目は油っぽくて、煮豚バラ肉が白飯に載せて、パクチーとたくあんも付いてるのだが、さらに言うとこの形の滷肉飯(ルーロウハン)は、台湾だと南部の料理だ。南部の滷肉飯(ルーロウハン)は、北部で焢肉飯(ホンロウファン)と言う名前になっている。一方で、北部の滷肉飯(ルーロウハン)は、南部で肉臊飯(ロウザオファン)と言う名前になっている。


今回、南部の滷肉飯(ルーロウハン)を少し紹介させていただきたい。今ではどこでも売っている庶民料理なのだが、昔はお金持ちの方しか食べれない贅沢な料理だった。なぜかと言うと、滷肉飯(ルーロウハン)を作るには、大量の脂身が付いてる豚肉と油が必要で、その二つ食材は昔の時代にはすごく高価なものだからだ。一般人にとっては、日常的に気軽に食べれる食材ではなく、入手も難しくて、お祝いする日に高級な食材として珍しく味わう料理だ。
それについて、この本に掲載されているエピソードがある。昔、台湾南部出身のお金持ちの方が初めて北部に行き、食堂で滷肉飯(ルーロウハン)を注文したが、小さくカットした豚肉で作られた肉臊飯が出て来て、激怒し、食べずに帰ってしまった。その人は大きいお肉が食べたいので、滷肉飯(ルーロウハン)を注文したのに、出てきた料理と予想していたものが違っていたのだ。現代の目線でこのような話を見ると、非常に不思議な感じがするが、でも、昔の人にとっては日常のことだ。一つの料理で昔と今の生活風景が見えるのが、滷肉飯(ルーロウハン)だ。
今は、名前の違いがまだ残っているけれど、もう誰も怒れないのだ。滷肉飯(ルーロウハン)も肉臊飯も美味しい豚肉ご飯なので、ぜひ台湾に来られた際に、両方を食べて比べてください。
簡 子傑(デザイン部。台湾出身)