5月26日から6月9日まで[紀伊國屋書店 梅田本店]にて、関西の出版社7社(140B・インセクツ・京阪神エルマガジン社・創元社・西日本出版社・ミシマ社・ライツ社)合同フェアを開催していた。そこでは、ただ本を並べるだけではなく出版社のスタッフが売り場に立ち、自社の書籍の案内やくじ引き、著者サイン会を実施したりとワイワイしたイベントとして盛況に終了した。
今回参加した出版社の中でインセクツは1番知名度が低い出版社だろうと思い、「せめてインセクツの名前だけでも覚えて帰ってや!」という気持ちで、売り場に立つ際はできる限り、お客さんや他の出版社の方と話すように心がけた。
前職で販売を行っていたことなどから、第一声は「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」などの挨拶から声をかけた方が警戒されることなく自然と話し始めることができたり、一方的に話しかけるのではなく質問をしながら会話をした方がスムーズなど接客することには慣れていたが、書店での接客はとても苦労した。
私自身、書店で「こんにちは」などと声をかけられたくもないし、声を発する場所でもないと思っていた。自分がやられて嫌なことは、人にやってはいけない」。何十年かぶりに、幼稚園時代の先生の教訓がフラッシュバック。
それでも声をかけるたびに声量・タイミングなどをチューニングしながら、色々な方とお話しすることができた。
大阪のお気に入りの店を熱弁してくれた方、インセクツの動向をチェックしてくれている出版社の営業の方、就職活動中の悩みを投げかけてくれた方、息子さんがスパイスカレーつくりにハマっている方、インセクツのことを昔から知ってくれている方。人によるのは百も承知だが、話しかけると意外と話してくれることがとても嬉しかった。まるで色々な本をパラパラと立ち読みするかのように、思いがけずそれぞれの人生や個人の気持ちの断片を、直接体感することができた。それに加え、会話をしてくれたほとんどの方が書籍やカレーキットを購入してくださり、とても充実した時間を過ごすことができた。
またどこかのイベントでお会いしたとき、今度は私に「こんにちは」と声をかけてくれたら嬉しいなと、そんな日を心待ちに今日も書店営業に行く菅原でした。